2022/5/14, 今週の相場, 日銀政策変更思惑で銀行買い・住宅売り?

今週の振り返り

  • 米CPIおよびPPI発表で事前予想比で上振れしたことで、米株は大きく売られS&P500は一時3900を割り込み、NASADAQ100は12,000を割り込んだ。
  • ただし前月比減速でピークアウトが観測されたことや、パウエル議長らが今後2回の50bps利上げを支持したことで急速に短期金利が低下、株式市場も週末にセンチメントが改善して大幅高となった。
  • 金利上昇が懸念されていた半導体セクターはTSMCやAMDなど好調な業績発表が見直され相対的に強い週となった
  • 日本株は決算ラッシュ、金曜日で3月決算を(ほぼ)終え、前期業績は上方修正が相次いだことで市場は楽観ムード。一方で、足元の原価上昇や供給網混乱により、今期業績予想は特に製造業で減益も目立つ。
  • 来週は日本のCPIに注目。携帯料金値下げの影響剥落で日銀目標の+2.0%を超える数字が予想される。
    • 黒田総裁からはしばらく金融緩和姿勢の変更の言及はないと考えられるが、10年金利の変動幅の拡大等の思惑で、長期金利上昇の恩恵を受ける銀行セクターなどが買われ、金利上昇が逆風となる住宅が売られることも可能性として頭に入れておきたい。
    • そろそろ円安テーマによるトレードではなく、金融緩和政策(YCC)を修正したケースを想定したいところ。
  • 日報まとめはこちら。

米国市場

  • 5/11(水)の米時間朝に米CPI発表があった
    • 予想+8.1%(コア+6.0%)に対して実績+8.3%()と上振れたことで、株式市場が動揺し一日かけて下落を続け大幅安となった。
    • しかしながら前月の+8.5%(コア+6.5%)からは減速が確認された。
    • また翌日発表の米PPIでもピークアウトが確認された。
  • パウエル議長を筆頭にタカ派メンバーも含めて今後2回は50bps利上げが適切との発言が相次ぎ、急速に75bpsの利上げの思惑が後退したことや、物価指標のピークアウトで安心感が広がり、金曜日には米株は大幅高となった。
  • 週を通じてみると、主要指数であるS&P500, NASDAQ100はともに▲2.41%、これまで資金が集中してきたAAPLやMSFTなどを筆頭にハイテク株が下げをけん引。
  • 半導体セクターは金利上昇の影響が懸念されていたものの、TSMCやAMDなど引き続き好調な業績発表が続いたことで、金曜日の市場センチメント改善のタイミングで強く反発し、相対的に強い週となった
S&P 500 Map
https://finviz.com/map.ashx
https://www.youtube.com/watch?v=uDIdpzaiW4U

日本市場

  • 今週は前期決算のラストスパート、前期業績は上方修正が相次いだ一方で、足元の供給網混乱や原価上昇の影響で製造業を中心に今期業績予想は急減速。
  • 年初来では最も堅調であった大型バリューが、今週は売られた。
  • バリューグロースともに週初は売られていたが、水曜と金曜のグロース反発局面でバリューが置いて行かれた格好となった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1328U0T10C22A5000000/

各国株式

  • インドネシア、フィリピン(ここには含まれないがベトナム)が大幅安となり、アジア新興国の弱さが目立つ。
  • インドネシアは資源国であることや巨大な消費市場の追い風により年初からの世界株安に逆行して年初来プラスで好調であったが、大型10連休を明け世界株安の影響を一挙に吸収して急落となった模様。

来週の予定

要人発言

今週はCPIピークアウトの結果を受けて、FOMCメンバーによる今後の金融政策に対する考え方、特に75bps引き上げ思惑を否定してタカ派姿勢を軟化させるか注目したい。

  • 5/16:ウィリアムズNY連銀総裁講演
  • 5/17:ブラード米セントルイス連銀総裁講演
  • 5/17:メスター米クリーブランド連銀総裁講演
  • 5/17:パウエルFRB議長講演
  • 5/18~20:G7財務相・中央銀行総裁会議

経済指標

  • 5/16:中国4月小売売上高、鉱工業生産
    • 中国ロックダウンの影響に注目
  • 5/17:欧州GDP
  • 5/17:米小売売上高
  • 5/18:欧州CPI、英国CPI
  • 5/19:米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
  • 5/19:米4月の中古住宅販売件数
    • 住宅ローン金利上昇の影響がどのように出るか注目
  • 5/20:日本4月消費者物価指数
    • 先週は都区部CPIで携帯料金値下げ効果剥落でyoy+1.9%
    • 今回のCPIが+2.0%達成するかに注目。黒田総裁が即座に意見を変えることはないと思うが、+2.0%達成した場合は思惑先行でYCC政策変更で恩恵を受けるセクター(例えば銀行)が買われ、逆風となるセクター(ローンによる購入が一般的な住宅や自動車)が売られるのではないか。
  • 5/21:オーストラリア総選挙